グラウンドの土が滾る太陽に照らされている。むしむしと漂う熱気は、立っているだけでも汗を滴らせる。

上一篇 / 下一篇  2019-08-13 13:07:45

 グラウンドの土が滾る太陽に照らされている。むしむしと漂う熱気は、立っているだけでも汗を滴らせる。「拓也ーー、頑張れーー!」 スタンドから藤田の母が叫んだ。「オッケー、頑張る 生髮療程 」 藤田はぽつりと呟いて、光るスタンドを見つめた。女手ひとつで母は藤田をずっと育ててくれた。一生懸命働いて、藤田の好きな野球をやらせてくれた。藤田は自分とそのチームが輝く瞬間を母に見せたかった。親孝行になるかは分からないけれど、野球をやらせて良かったと母には思ってもらいたい。 有力校から声がかからず苦しい表情を見せた中学の最後。母はずっと励ましながら心配してくれていた。知って欲しかった。今、無名校でもこうして楽しく投げていることを。そして、その無名校に進んだことが正解だったんだよと母を安心させたい。あなたの息子が進んでいる道は間違っていないと。 真っ白なボールをぽんっと空に弾いた。くるくると回転して、藤田のグローブに収まる。よしっ、良い子だ。力を、貸してくれ。 プレイッ!! 主審が高らかにコールした。甲賀守備陣の体勢が低くなる。 いけるところまでいってやる。白烏さんのピッチングが完成するまで、僕がチームを勝たせるんだ。滴る汗を指で弾いた。滝音がサインを送る。藤田は笑った。『とりあえず初球は気持ちよくこれだ。思いきり腕を振ってこい。データは次の球からな』『了解です』 滑らかなフォームから大きく足を踏み出す。ムチのように藤田の腕がしなり、人差し指と中指がボールを前に押し出す。白球はしっかりと縫い目を指に絡ませた。うん、良い子だ。 パシーーーーン! レーザー光線のようなストレートが滝音のミットを高く鳴らした。 ストライイィク!!! 藤田の母は大きく手を叩いた。たった一球なのに頬を涙が伝った。嬉し泣きなんて、いつ以来だろう。


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